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むらかみはなこのヨガママンになろう!

妊娠してからベイビーを迎えるまでの妊娠期間は、約290日。十月十日(とつきとおか)と言われ、月経周期28日を1ヵ月だと考えたら、月が地球の周りを10周するほどの長い道のりです。
このコラムでは、ヨガライター&ヨガインストラクターとして活躍するむらかみはなこさんが、プレママ時期(妊娠中)に役立つ呼吸法や、ママになってから取り入れたいヨガポーズなど、健やかなマタニティライフのためのヨガ的ヒントとともに、ヨガママンへの道をご紹介します。

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村上 華子(むらかみ はなこ)

ヨガインストラクター・ライター。綿本彰氏のもとでヨーガを学んだ後、2008年に『HAS YOGA』設立。2012年、第一子の妊娠出産を経て、女性のためのヨーガやマタニティヨガの指導に力を注いでいる。フリーペーパー「YOGAYOMU」やヨガワークス発行マンスリーニュースレター「YOGA PRESS」に記事を寄稿するなどライターとしても活躍中。

DIRECTION:Yoga works

妊娠初期

4週~15週(2ヵ月~4ヵ月)

<ママンのこころとからだ>
イライラ・不安・微熱が続く風邪のような症状・つわり・倦怠感


目の疲れにご注意を!


月経の遅れに気づく4週~5週目頃、すでにお腹のなかでベイビーの脳や脊髄など各器官が芽生えはじめています。ママンによっては5週目頃から、からだが変化に敏感になり、つわりの症状や、微熱によるだるさといった不良に悩まされるなど、ブルーな気持ちになるママンも多い時期です。

妊娠初期は、からだを動かすことよりも、からだの変化に耳を傾けてリラックスすることにフォーカスしましょう。特にこの時期に気をつけたいのは目の疲れ。おばあちゃんの世代から、「産前産後の針仕事はいけないよ」と言い伝えられているのは、目の疲れが背骨を通じて骨盤や子宮を緊張させるため。子宮周りの緊張は、流産などのトラブルを招く原因のひとつ、そして目の疲れや首回りのコリは、つわりの症状を助長させるもの。そこで今回は、妊娠初期の不安定なこころとからだに効果的な『月と太陽の呼吸法』をご紹介します。


ヨガママンへの道【妊娠初期編】
『月と太陽の呼吸法』にチャレンジ!


  1. あぐらで座り、左手を膝の上に。右手の人差し指と中指を眉間に置きます。
  2. 親指で右鼻を閉じ、左鼻から息を吸って。
  3. 右手の薬指で左鼻を押さえ、右鼻から息を吐きます。
  4. 続いて、右鼻から息を吸い、そのまま右鼻を押さえて、左鼻から吐きます。(これを1サイクルとして、数回繰り返し行います)
始めるまえのご注意:
・マタニティヨガは安定期に入る16週目以降から行うのが一般的ですが、始める前に必ずかかりつけの主治医にご相談の上、医師のアドバイスに従ってください。
・ポーズの最中にお腹の張りや不調を感じた場合は、速やかに中止し安静にしてください。
・マタニティヨガは信頼できる経験豊かな指導者の下で行ってください。

ヨガママンを目指すみなさんへ


【2/6】妊娠中期

ヨガライター&ヨガインストラクターとして活躍するむらかみはなこさんが、プレママ時期(妊娠中)に役立つ呼吸法や、ママになってから取り入れたいヨガポーズなど、健やかなマタニティライフのためのヨガ的ヒントとともに、ヨガママンへの道をご紹介するコラム(全6回)のvol.2です。

妊娠中期

16週~27週(5ヵ月~7ヵ月)

<ママンのこころとからだ>
食欲増進・強い眠気・腰痛・肩こり・便秘・お腹が大きくなりはじめる


安定期に入ったら、まず骨盤ケアを。


辛いつわりに悩まされてきたママンも、安定期に入ってつわりから解放されると、目の前の霧が晴れるかのように、こころもからだもすっきりしてきます。子宮のなかでは胎盤が完成し、お腹は膨らみはじめます。お腹にベイビーの鼓動を感じる毎日に、母親としての自覚が強まる時期ではないでしょうか。

妊娠中期、妊婦らしいからだつきへと変化する中で、多くのママンを悩ませるのが「腰痛」です。お腹が大きくなることでからだの重心が前方へと移動するため、どうしても腰を反らせて姿勢を補ってしまうのですが、この不自然な「反り」が背中や腰には大きな負担。腰痛の原因となります。また、お産に向けてゆるんでいく骨盤は変形しやすく、仙腸関節のズレもその原因のひとつと言われています。骨盤のゆがみは産後の不調も誘発するので、この時期からヨーガでメンテナンスをしていきましょう。骨盤と背骨の矯正、腰痛緩和が期待できる『膝を内側に倒すポーズ』をご紹介します。


ヨガママンへの道【妊娠中期編】
『膝を内側に倒すポーズ』で骨盤ケア!


  1. 仰向けの状態で両膝を立てます。足の間は広く、手は体から離します。
  2. 息を吐きながら、左の膝を内側に倒し、床に近づけます。(5呼吸キープ)
  3. 息を吸いながら、1の姿勢に戻り、ひと呼吸。
  4. 反対側も同様に行い、両足を伸ばして仰向けでリラックス。(これを1サイクルとして、数回繰り返し行います)
始めるまえのご注意:
・マタニティヨガは安定期に入る16週目以降から行うのが一般的ですが、始める前に必ずかかりつけの主治医にご相談の上、医師のアドバイスに従ってください。
・ポーズの最中にお腹の張りや不調を感じた場合は、速やかに中止し安静にしてください。
・マタニティヨガは信頼できる経験豊かな指導者の下で行ってください。

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【3/6】妊娠後期

ヨガライター&ヨガインストラクターとして活躍するむらかみはなこさんが、プレママ時期(妊娠中)に役立つ呼吸法や、ママになってから取り入れたいヨガポーズなど、健やかなマタニティライフのためのヨガ的ヒントとともに、ヨガママンへの道をご紹介するコラム(全6回)のvol.3です。

妊娠後期

28週~40週(8か月~10か月)

<ママンのこころとからだ>
体重の増加・出産への不安感・お腹が張りやすくなる・腰痛・足のむくみ・便秘・息切れ


安産力をあげて、お産の不安を払しょく!


瞬く間にお腹の大きさが増す妊娠後期は、ベイビーが自力で生きていくための器官をほぼ完成させ、頭を下げた姿勢でママンに会う準備をはじめています。ママンもベイビーと会える日を待ち遠しく思う反面・・・刻々と近づくお産のプレッシャーから不安が募ることも。また、妊娠後期に入ったママンのからだは、胸の下まで膨らんだ子宮が胃や肺を圧迫することで胸のつかえや動悸、息切れを起こしやすく、家事をするのにもひと苦労。揺れるこころと、重たいからだを抱えて「何もしたくない・・」なんて思うこともありますが、行動の制限から急激な体重増加も心配なところ。特に、臨月(妊娠36週~)からは、安産力を高めるヨガポーズを取り入れながら、積極的にからだを動かしましょう。今回は、骨盤底や内モモを開くことで、お産を楽にさせる『開脚のポーズ』をご紹介します。


ヨガママンへの道【妊娠後期編】
『開脚ポーズ』にチャレンジ!


  1. 両足を開いて開脚。肩の力を抜いて胸の前で合掌します。
  2. 息を吸いながら、頭の上までまっすぐに手あげて伸ばします。(骨盤底を締める)
  3. 息を吐きながら、手をひざに戻してひと呼吸。(骨盤底をゆるめる)
  4. 手のひらを床につけて、息を吐きながら背中をゆるめます。
  5. 息を吸いながら、背筋を伸ばし、腰の後ろで手を組んで胸を開きます。(骨盤底を閉める)
  6. 息を吐きながら、手をひざに戻してひと呼吸。(骨盤底をゆるめる)
骨盤底を締める感覚は、膣、または排尿中に尿の流れを止めるようなイメージ。

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【4/6】お産の時

ヨガライター&ヨガインストラクターとして活躍するむらかみはなこさんが、プレママ時期(妊娠中)に役立つ呼吸法や、ママになってから取り入れたいヨガポーズなど、健やかなマタニティライフのためのヨガ的ヒントとともに、ヨガママンへの道をご紹介するコラム(全6回)のvol.4です。

お産の時

<ママンのこころとからだ>
不安定な気持ち・背中から腰にかけての強い痛み・寒気・吐き気


スムーズなお産の秘訣は、上手なリラックスにあり。


月満ちていよいよ出産日が近づいて来たら、ヨーガで培ってきた「からだの変化を感じる力」を発揮するときです。初産婦のママンなら、未知の体験に恐怖が先立ってしまうでしょうし、経産婦のママンも、過去の辛かった出産経験を思い出すあまり、緊張してしまうかもしれません。「陣痛と陣痛の合間に、リラックスすることが安産への鍵」と言われるのは、精神的な緊張が産道をこわばらせるとお産を長引かせることになるためです。上手に休息を取り入れていきたいものですね。

陣痛時の休息にぴったりなのは、『こどものポーズ』です。ベッドの上で行なっても良いですし、フローリングやソファの上で、椅子やクッションにからだを休ませて行ってもOK。何かにからだをゆだねる行為は、精神的なサポートにも効果的です。精神が高ぶったり、辛いと感じるときは、『カパーラ・バーティ』の呼吸法で、余分な力みを手放しましょう。リズムカルに繰り返される短息呼吸は、心を落ち着かせ、お産に向けての体力温存や、気力の維持にも役立ちます。


ヨガママンへの道【お産の時編】
『カパーラ・バーティ』の呼吸法にチャレンジ!


  1. 目を閉じ両手をお腹に当てたら、吐く息と共に肩の力を脱力させます。
  2. 吐く息を意識しながら、瞬時にお腹を軽く凹ませ両鼻腔から「フッ・フッ・フッ」というリズミカルな短息呼吸を行います。(目安20回)
  3. 余分な力みが抜けた後に訪れる、なめらかな自然呼吸を味わいます。
息は吸おうとせずに、息を強く吐き出した反動で自然と息が入ってくるようにします。
妊娠前からハタヨガの実践でこの呼吸法を行っている方は、強い腹圧を掛け過ぎないように注意しましょう。
分娩第一期にはあぐらの姿勢で、分娩第二~三期には分娩台の上でも行えます。

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【5/6】産後

ヨガライター&ヨガインストラクターとして活躍するむらかみはなこさんが、プレママ時期(妊娠中)に役立つ呼吸法や、ママになってから取り入れたいヨガポーズなど、健やかなマタニティライフのためのヨガ的ヒントとともに、ヨガママンへの道をご紹介するコラム(全6回)のvol.5です。

産後

産褥期(産後すぐ~1ヵ月)

<ママンのこころとからだ>
お産の達成感・後陣痛・歩行困難・尿漏れ・睡眠不足


産後の不快を解消する、骨盤底筋のケア。


愛おしいベイビーを胸に抱き感動を噛みしめたら、いよいよ母業のはじまり。でも、大仕事を終えて高揚した気持ちとは裏腹に、ママンのからだは大きなダメージを受けています。妊娠中に活発になっていたホルモンは、産後急激に激減しますし、胸のすぐ下まで膨らんでいた子宮は、産後6~8週間かけて妊娠前の大きさに戻りますが、その過程で出血や痛みを伴うこともあります。この期間は「産褥(さんじょく)期」と呼ばれ、安静にしてゆっくりとからだが回復するのを待つための時間です。しばらくはヨーガもお休みしましょう。とはいえ、お産によってゆるんだ骨盤底筋(※)をそのままにしておくと、冷えや尿漏れ、腰痛などの不快な症状の原因になるので、からだの負担をかけずに骨盤底筋に働きかけられる『胸膝位で骨盤底を締めるポーズ』をお勧めします。骨盤底の筋肉は意識するだけで鍛えることが可能なので、産後の経過が良ければ、入院中ベッドの上でも行うことができます。
※「骨盤底」は子宮や膣、膀胱などを下から支える筋肉群。


ヨガママンへの道【産後編】
『胸膝位で骨盤底を締めるポーズ』にチャレンジ!


  1. 肩の真下に手のひら、腰の下に膝を置き、四つんばいの姿勢になります。
  2. 床に肘をつき手を重ね合せ、その上におでこを乗せて、ひと呼吸。
  3. お尻を高い位置でキープしたら、息を吸って骨盤底を締める、息を吐いてゆるめるをくり返す。
  4. 何度か骨盤底の収縮をくり返したら、ゆっくりと上体を起こし、正座でひと息。
帝王切開の場合等は必ず医師に相談してから行ってください。

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【6/6】産後

ヨガライター&ヨガインストラクターとして活躍するむらかみはなこさんが、プレママ時期(妊娠中)に役立つ呼吸法や、ママになってから取り入れたいヨガポーズなど、健やかなマタニティライフのためのヨガ的ヒントとともに、ヨガママンへの道をご紹介するコラム(全6回)のvol.6です。

産後

床上げ後(産後2ヵ月~6ヵ月)

<ママンのこころとからだ>
骨盤の弛み・不眠・肩や背中のコリ・腰痛・腱鞘炎


“あやし+自分ケア”で、育児力UP!


お産の傷が癒えてきたら、徐々に日常生活へとシフトチェンジしていきましょう。産後検診で経過が順調なママンであれば、産後2か月を目安にヨーガ復帰も可能です。24時間体制でベイビーの世話に追われていると「運動よりも、まずは休息!」と嘆きたくなりますが、実は、カラダが本来の状態に戻ろうとしているこの時期に適度な運動を行なえるかどうかは、ボディラインの回復の重要な鍵になります。お勧めしたいのは、育児しながらボディケアもできる「ながらケア」です。特に、育児は前かがみの姿勢で行うことが多いので、背中を優しく反らせる動きが効果的。今回は、気持ちよく後屈させることで背中のコリをほぐし、骨盤底筋の引き締めやヒップアップ効果が期待できる『コブラのポーズ』をご紹介します。母乳トラブルも軽減するという嬉しい効果も期待できます。ベイビーと一緒に楽しみましょう。


ヨガママンへの道【妊娠中期編】
『膝を内側に倒すポーズ』で骨盤ケア!


  1. 両足を揃えてうつぶせの姿勢。おでこ・手のひら・ひじを床に付けて脇をしめる。
  2. 両ひじを床に付けたまま、息を吸いながら、背中を長く伸ばすように上体を持ち上げる。(下腹を締めたまま)数呼吸キープしたら、息を吐きながら上体を戻す。
  3. 床に付いた両手のひらを胸の横まで引き下げ、足を腰幅に開く。
  4. 息を吸いながら、腕を伸ばして上体を反らす。(下腹を締めたまま)数呼吸キープしたら、息を吐きながら、お腹→胸の順番で上体を戻す。
  5. うつぶせの状態で足を閉じ、楽な姿勢でリラックス。
ベイビーを腹這いにして、お互いの顔を突き合わせましょう。ママンの顔が上下に動くことでベイビーが喜び、同じ動きを真似することも。

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